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オーディオにおける最大の嘘(1)

https://www.soundstagesolo.com/index.php/features/246-the-biggest-lie-in-audio

この稿は、ヘッドフォン・イヤフォン系サイトであるSoundStageSoloに、同サイト編集長であるブレント・バターワース氏から2020年7月1日に寄せられた文章ですが、非常に痛切な示唆に富む文章だったので紹介します。

これはstereophileの執筆陣の1人でもあるハーブ・ライヒャート氏へのカウンターとも呼べる寄稿であり、具体的にはCanJam NYC 2020: Audio Precision Measurements(https://www.innerfidelity.com/content/canjam-nyc-2020-audio-precision-measurements 2020年2月19日)およびTannoy Revolution XT 6 loudspeaker(https://www.stereophile.com/content/tannoy-revolution-xt-6-loudspeaker 2020年6月25日)の2つへのカウンターです。

なので、CanJam NYC 2020: Audio Precision Measurementsについて先んじて要点のみ紹介したいと思います。

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「測定はすべてのオーディオ機器の設計と製造に不可欠な要素です。しかし!あるいはユーザーの満足度の評価および予測するためのツールとして、今日の測定方法はほとんど役に立っていません。

なぜなら、今日のオーディオ機器は、音楽を演奏することとはほとんど関係のないことを測定されているからです。

だからこそ、(中略)、マルチトーンや実際の音楽(ダイナミックなドラムトラックやピアノの和音など)を含む最新のテストを提唱しています。(中略)

私がこのテストを気に入っているのは、数字が表示されるのではなく、テストマイクが拾ったものと重ね合わせて、ドラムトラックのテスト信号のイメージを得ることができるからです。元の入力からのすべての変化は明らかで、理解しやすいものでした(以下略)。

オーディオにおける最大の嘘(1)_d0122127_00163673.jpg

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なんとも... 暴論です。

日本でも、uniwaveやタイムドメイン理論としてステップレスポンスの再現性に注力する考えもありました。このハーブ・ライヒャート氏の主張に対するブレント・バターワース氏の寄稿を紹介していきたいと思います。

# by tetsu_mod | 2020-07-24 00:16 | オーディオ

『理論からはじめるスピーカー設計入門 上巻(音響工学の基礎編)』

サークルMetroAudioさんの『理論からはじめるスピーカー設計入門 上巻(音響工学の基礎編)』を購入しました。

『理論からはじめるスピーカー設計入門 上巻(音響工学の基礎編)』_d0122127_10254313.jpeg

日本語書籍でここまでスピーカー理論を丁寧に解説した本があっただろうか...
基礎編ですが入門書ではない、著者の熱意が伝わる濃厚な1冊です。
是非手にとってみてください。

# by tetsu_mod | 2020-03-20 10:26 | オーディオ

吸音壁

年始の目標にも書いていましたが、壁を作ってみました。
2020年最初のDIYと胸を張りたいところですが、実際には構想だけで1年半かけています...

吸音壁_d0122127_22400058.jpg

テレビを壁掛けにしたり、隠蔽配線を施したり、楽しいDIYの40日間でした。

吸音処理の評価ですが、拙宅では十分なSNを確保してRT60を取ることは難しく、
また複数箇所でモードの動きをみるに必要があるのに対して二次元の静止画像評価では伝えるのが困難ですね...

そこで、R/Lchそれぞれで室内で7箇所で測定・平均化し、RT60Decayで比較してみました。
吸音壁_d0122127_22425361.jpg

70-200Hzでの凸凹がなだらかになりました。
しかし、23/40Hzのモードにはやはりかなり苦戦しています。
規模として贅沢な量の吸音層が取れたわけではなく、今後の課題です。

音の変化は満足です。
中低域がわかりやすくなり、また離れた場所でも混濁感が減り明瞭度が上がりました。
中〜高域の挙動はほぼ変化ないため、サウンドキャラクターに大きな変化は感じません。
最低域はEQで対応しましょう。

1年半の課題がクリアできて満足です。
助言・協力をいただいた皆さま、ありがとうございました。


# by tetsu_mod | 2020-02-13 22:46 | オーディオ

Klein und Hummel O500C

先日のNeumann KH420体験が印象に残っていたところ、
その前身たるKlein und Hummel O500Cのユニットセットを入手することができました。


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Klein und Hummel (K+H)がノイマン・ゼンハイザー傘下になったことから、後継機種はNeumann KH420になったんですね。

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入手できたのはモノラル分のユニットセット+mid/high waveguideだけです。
いわゆるジャンク扱いですが、ユニットのコンディション自体は良さそうです。


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ウーファーはかなり重厚な造りの、フランスPHL社のB303-8でした。
バスレフ向きユニットで、推奨は65L(ポート33Hz)です。


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 ミッドユニットはATC、ツィーターユニットはSEASです。


一番興味を持ったのはこの大型のmid/high waveguideですので、早速測定してみます。


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軸上は補正ありきでの設計ですね。
そこで、軸上を0dBに正規化してみたところ、軸外への滑らかさはさすがですね。
形状はGenelec 1037/1038にとてもよく似ています。


Klein und Hummel O500C_d0122127_19214372.png

このmid/highを合成すると、確かにメーカー公表の軸外特性になりそうです。


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それでもO500Cでは15kHzでの軸外特性には乱れがみえますが、後継機種であるKH420ではさらに改善されていることから、ツィーターwaveguide+phaseplateにさらに改良が入ったのでしょう。
実に見事な特性です。

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見比べると、自分のATC SCM50P+waveguideツィーターはちょっと指向性が狭いようですね....
3/4inchのおかげか、phaseplateなしでも軸外への乱れはより高いところに逃げてくれているようです。

やはりトップメーカーから学ぶものは多いですね。

# by tetsu_mod | 2019-11-21 19:26 | オーディオ

NEUMANN KH420

3way パワードモニターの雄の1つ、NEUMANN KH420を聞く機会に恵まれました。

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贅沢にも、ATC SCM100ASL PROと並べて切り替え比較環境でした。
ATCも、現行の自社製ツィーターがのったver.です。

というわけでSCM100/KH420での相対的な試聴となりました。

ATC SCM100ASL PRO
・新型ツィーターになって音色のつながりはかなり良くなった
・空間表現が相対的に弱い
・vo.にリバーブがかかったかのような濃さ、厚みがある
・独特のミッドの質感と、ローのカッコ良さはいまだ一線の魅力。

NEUMANN KH420
・空間の出方、vo.の小ささ、リバーブの見え方など、中高域の設計ではSCM100や1037より頭1つ抜けてる
・ATCがクセだらけに感じる
・ローエンドに詰まったような癖が少しだけある気がする。
・質感をつかみやすい一方で、そっけなさとも紙一重かも(ATCと比較したら、の話で)


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KH420はwaveguideデザインにとても注力しているので期待していましたが、空間表現能力は期待以上でした。
軸上・軸外特性の制御から、Genelec 8260/8351のような同軸ユニットを除いた、現代3wayモニターの設計では1つの指標になるべきスピーカーだと感じました。

貴重な体験をいただき、ありがとうございました。

# by tetsu_mod | 2019-11-17 00:13 | オーディオ