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Measuring Loudspeakers, Part Three(6)

・良い音のスピーカーとは?
Vance Dickasonはこの問題について議論を提起していましたが、最終的な結論はFloyd Tooleの1986年の包括的な論文だと思います。少なくとも、従来型の一般的なムービングコイル式の前方音響放射型スピーカーにおいて、Stereophile.comの8年間の仕事はこの論文を支持するものです。1991年に書きましたが私の意見としては、「最高の音色のスピーカーとは、中域から高域にかけてフラットな軸上周波数特性を持ち、共振による色付けがなく、高域の指向性がよくコントロールされ、優れたステレオイメージングをもち、最適に調整された低音、そして目障りなクリップを伴うことなく、クリーンに大音量を再生できるものです」。

・結論
スピーカーの各種性能を測定するたびに、音の挙動に関与するであろう重要な情報を得ることができます。しかしながら、測定された各種性能と主観的な音の評価との間を直接的に結びつけることはまだできていません。
つまりは、
1.主観的「音質評価」は、複数の測定結果と複雑に関連する
2.スピーカーの「音質」すべてを表すような単一の測定評価は存在しない
3.スピーカーの性能を測定すること自体が、主観的な選択を伴う二律背反
4.全ての測定結果は解釈次第で誤りを導くことがある
5.そして最も重要なことは、測定によってスピーカーがどのように動作するのかを知ることはできても、それが良い音かどうかを知る術はない、ということです。全ての測定結果を注意深く見れば、そのスピーカーの音をある程度正確に予想することは可能です。しかしそれでも、そのスピーカーがいいスピーカーか、素晴らしいスピーカーか、はたまた退屈な音のスピーカーなのかを知ることは不可能なのです。結局は音質を判断するのには、鍛えられた耳だけが唯一信頼できる手段なのです。

ある測定結果がどんなに良かろうとも、例えばベートーベンの第5交響曲の第3楽章の導入のトロンボーンが、例えばジミ・ヘンドリックスのElectric Ladylandでの「Voodoo Chile」のイントロでのトレモロがあなたの背筋を震えさせないのであれば、そのスピーカーは、どこかに何かやはり悪い部分があるのです。


※さて、長い間お付き合いいただきありがとうございました。この稿はここで終了です。

by tetsu_mod | 2019-11-10 00:32 | オーディオ