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Measuring Loudspeakers, Part Two(3)

Measuring Loudspeakers, Part Two
John Atkinson | Nov 7, 1998
https://www.stereophile.com/features/100/index.html

紹介するのはStereophile誌の前編集長、John Atkinson氏の1998年のスピーカーの特性評価における総説です。すでに21年前の総説ですが、非常にまとまっており、またこの内容に対する理解は非常に得難いものなので、僭越ながら注釈を追加しつつ和訳したいと思います。


共振
スピーカーのインパルス応答データをFFT(フーリエ変換)により周波数特性分析したデータを時間軸に任意のサンプル数ならべると、3次元グラフをプロットすることができます。この累積スペクトル減衰(Cumulative Spectral Decay: CSD)、またはWaterfall Plotと呼ばれるグラフは、振幅(音圧)をX軸の周波数とZ軸の時間に対してプロットしたもので、f特性からは分からないスピーカーの共振を明らかにすることができます。

この測定では取得する時間情報が短いほど、解析できる最低周波数は高くなり、また周波数分解能が低下していきます。 Stereophile.comのスピーカーを測定する部屋の物理的条件では、約3.5〜4ミリ秒の反射のない窓時間を確保できます(擬似無響室測定)。つまり、測定できる最低周波数は(1000 / 3.5)Hzまたは(1000 / 4)Hz = 250-285Hzということになります。したがって、 Stereophile.comのグラフでは、300Hz未満のデータは表示していません。この周波数分解能は、ツイーターの共振のみならず、ウーファーとミッドレンジの振動板の高域共振に関しても十分なものです。FFTの窓関数の選択も大きな影響を持ち、立ち上がりの鋭い窓関数を用いるほど、CSDプロットはスピーカーの過渡的な挙動により正確になります。その一方で、より立ち上がりの長い窓関数を選択すると、周波数領域の側面がより見やすくなります。

図25は、音波がマイクに届くまでの時間と、部屋の壁およびマイクスタンドからの反射を除去した窓時間での小型2wayスピーカーのCSDプロットです。FFT窓関数は、立ち上がり時間が0.15ミリ秒のBlackman-Harrisタイプを用いています。まず、27kHzで金属振動板のツィーターの共振峰を見ることができます。 次にもっと小さいですが振幅のピークに連続する3kHzの共振峰が見られます。これは比較的早く収束しますが、この周波数帯域でエネルギーが若干高すぎる録音の場合、この3kHzの共振のために多少聴きづらくなる場合があります(リスナーによっては、この特徴を「分析的」と言う場合があります)。

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図25. 典型的な累積スペクトル減衰プロット(0.15msの立ち上がり時間)。

対照的に、図26は軸上の周波数応答が著しく平坦でないスピーカーのCSDプロットです。グラフでは、3750Hzでの厳しい共振が目立ちます。スピーカーの音色の問題に加えて、この共鳴は全体的にジャリジャリとした音として聞こえるはずです。ただ、最近ではこのようなひどい共振をもつスピーカーは、非常にすくなくなりました。


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図26. 良くない累積スペクトル減衰プロット(0.15msの立ち上がり時間)。

CSDをうまく測定するには、時間応答に対してノイズ(測定PCが許す限り多くのインパルス応答測定の平均化が役立ちます)と、マイクスタンドや部屋からの反射の両方をできるだけ少なくする必要があります。ノイズと反射の除去ができていない場合、CSDプロットに偽の共振峰が現れることになり、スピーカーの共振と勘違いすることがあります。また繰り返しになりますが、あまり窓時間を短くしすぎて測定しないことも重要です。 これは滑らかに見えるCSDプロットがとれますが、誤解を招きます。MLSSAソフトウェアのバージョン10.0Aは、CSDプロットの領域に、測定時間が不十分なためデータの信頼性が低い領域にマークがつくようになりました(図25,26の左下隅の領域です)。 Hawksfordは、スピーカーの最小位相(minimum-phase)を補正することにより、CSDプロットを修正することも提案しています。 これにより、低周波共振が見やすくなりますが、まだ試してはいません。

Floyd TooleとSean Oliveは、共振の可聴性について著名な研究を記しています。それによると、一般に、Qが低く、ピークは低くとも幅広い共振峰は、Qが高く、ピークが高くとも短い共振峰よりも耳に付きやすいと考えられています。 また、共振に関連するものを含めて、振幅応答のディップは、ピークよりも聞こえにくいと考えられています。Stereophil.comの経験では、スピーカーの中高音域(たとえば1kHz以上)のスピーカーのCSDプロットがよりきれいに見えるほど、評価が良くなる可能性が高いようです。「明瞭度が高く」、「ざらつきが少なく」、または「透明度が優れている」とリスナーから称賛されるスピーカーは、概してきれいなCSDプロットを持つ傾向にあります。 逆に、「ザラザラ」または「耳障り」と呼ばれるスピーカーは、CSDプロットがひどい場合が多いのです(もちろん、非線形歪みや周波数特性の乱れなどもそのような評価に関連します)。


by tetsu_mod | 2019-09-07 23:20 | オーディオ | Comments(0)