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YAMAHA製新開発スピーカーユニットを使ったスピーカー自作&試聴会イベント

YAMAHA社およびMJ『無線と実験』ライター小澤氏よりお誘いいただき、9cmユニットを用いたスピーカーを製作させていただきました。恥ずかしながら、これが初めてのフルレンジスピーカー製作となります。


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Consept

今回の企画はフルレンジ(1way)がレギュレーションでしたので、その範疇でシンプルかつ現代製作としての性能(e.g.軸上・軸外特性) 、自作の範疇での見た目(所有満足度) 、特殊な加工が不要で再現性のある範囲の工作を考えました。


Unit

本企画においてYAMAHA社から提供していただいた試作 9cmフルレンジユニットです。Mms=2.8gと軽量ユニットですが振動板は高剛性の手応えで、10kHzまでは直線性をもった周波数特性を示しています。

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Enclosure

add mass測定法でT/Sパラメーターを測定したところ、小型のバスレフでまとめるか悩みましたが、今回は中低域の充実を狙って6-7L程度のTQWT-portを... いや、この音道の長さではただの補強の入ったバスレフとしてしか動作しないであろうエンクロージャーを15mmシナベニアで製作し、Waveguide・Portは3Dプリンター製作としました。




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Waveguide

一般的にWaveguide(WG)は2/3wayでのクロスオーバー領域の指向性制御に用いられることが多いですが、今回は1way での急激な指向性の変化を整えることを目的に複数種類を試作してみました。2-5kHzでのDirectivity Index(DI、赤線)がより直線的になっているかと思います。この変化が空間表現にどのように関与するのか興味がありましたので、今回はWGを採用しました。バッフル全体を3Dプリンター制作し、より大型のWGとすることも思案しましたが、バッフル強度の低下と高域周波数の音圧低下を危惧し、今回は見送っています。


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Network

今回のレギュレーションは1way(フルレンジ)ですが、PST 回路の使用(LCRを使ったフルレンジの音質調整)は可とのことでしたので、 LCR-nocthで補正しやいようにユニット取り付け位置・バッフル幅を調整しました。VituixCADでネットワークを設計し、ホルダーは素子がピッタリはまるように、3D プリンターを用いて製作しました。


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Measurement

実測データをVituixCADに取り込み、設計シミュレーションとの測定評価を行いました。


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L/Rchの左右差は1dB以内に収まっており(上図)、またシミュレーションと同等の周波数特性が得られました(下図)。



Finishing

シナベニアの表面は比較的が柔らかいことから、0.3mm和紙貼り突板を貼ってみました。表面保護にはワシンの水性サンディングシーラー・水性ウレタンニスを刷毛塗りとしていますが、刷毛跡が... スポンジハケを使えば良かったと後悔しましたが、やむなしですね。


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Meeting

他の企画参加ビルダーさん・その作品たちと一緒に、浜松のYAMAHA本社にて試聴会に参加させていただきました。吸音の効いた視聴室でしたので、サウンドパワーとしてユニットのXmaxやWGとのクリアランスが大丈夫かはヒヤヒヤしましたが、なんとか乗り切れたようです。当日はYAMAHAの無響室でとったデータもいただきましたが、自分の疑似無響音室測定データと大きな乖離がなくてホッとしました。無響室(もしくはNear-Field-Scanner 3D (NFS) )は個人では手が届かないものですから、試聴会と合わせて貴重な体験になりました。


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フルレンジ製作において測定やシミュレーションは必須ではないですが、これらを活かすことで同じフルレンジ製作でもより楽しみの幅は拡がるものだと感じる製作でした。今後、YAMAHA社の方針として自作用スピーカーユニットが試作から販売へと至るかは期待したいところですが、振動板素材は個人的には手応えのあるものでしたので、個人的には1+6.5inchの2way用ユニットも販売されると嬉しいですね!



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初めての浜松でしたが、駆け足ながらも観光もでき、また旧交を温めることもでき、とても幸せな時間でした。YAMAHA社およびMJ『無線と実験』ライター小澤氏、関係者の皆様に心より感謝申し上げます。


今回のYAMAHA製新開発スピーカーユニットを使ったスピーカー自作&試聴会イベント報告は、2024年3月8日発売のMJ無線と実験 2024年 4月号 春号 に掲載されます。また、2024年5月12日(日)開催の創刊100周年記念 第6回MJオーディオフェスティバル にて本企画のスピーカーたちが展示されるとのことですので、会場にこられましたら一笑いただけましたら幸いです。


# by tetsu_mod | 2024-03-08 00:00 | オーディオ

RFT L1635-7 第5回MJオーディオフェスティバル

友人たちに背中を押してもらい、第5回MJオーディオフェスティバルの読者コーナーの末席に参加させていただきました。

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オーディオイベントにはそれなりに参加してきましたが、発表側で参加するのは初めての体験でした。
MJ編集部の皆様、彩球オーディオクラブの方々、現地に来てくれた友人の皆様、来れずとも温かい声援をいただいた友人の皆様、またなによりも背中を押してくれて一緒に会場に行ってくれたあつさん、本当にありがとうございました。
忘れられない体験になりました。

# by tetsu_mod | 2023-07-16 22:50

RFT L1635-6

全体が出来上がったので、最後に銘板を作製してみました。

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デザインはklangfilmのオマージュとしました。
数字はウーファーとツィーターのユニットナンバーの和です。

ウーファーとホーンの間も良かったのですが(klangflimはここ)、
試行錯誤の結果、左下にしました。

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この状態で複数箇所の環境でチェックさせていただき、バスレフポートの微調整がやはり必要でした。
何回作っても、バスレフポートの調整が下手くそなのは設計能力の低さの露呈ですね...

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これにて完成!
なんだかんだとゆっくり2年以上もかけてしまいました。

そして、製作に協力してくれた友人と連名にて、2023年7月のMJオーディオフェスティバル「読者の大試聴会」に参加させてもらえることになりました。会場でまともな音がすればいいのですが...

# by tetsu_mod | 2023-05-14 21:35 | オーディオ

ATC SCM50P(41) BlieSMa T25D-6 + Waveguide

なんと友人のご厚意で、ダイアモンド振動板のT25Dを自宅で拝聴さえていただけました。
これで、
T25S-6:ソフトドーム
T25B-6:ベリリウム
T25D-6:ダイアモンド
の3種類が揃い踏みしました(他にもT25A-6:アルミニウム振動板もあります)。
ベリリウムもダイアモンドも友人からの貸し出しであり、感謝に堪えません。

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ベリリウムとダイアモンドは振動板プロファイルはほぼ近似で、十分にハイトは低かったため、T25B/T25Dは共通WGとして実験しました。

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時間の関係でT25B/T25Dは軸上周波数のみEQで揃えた暫定的なセッティングでしたが(画面キャプチャ忘れました)、前回の実験でT25Bに関しては軸外特性も整っていることを確認しており、おそらくはT25Dも問題ない特性であろうと思われます。一方で、T25Dは我が家の測定限界である50kHzまでbreak-upピークを持たない驚異的な特性を見せてくれました。

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ヒアリングでの感想ですが、ソフトドーム→ベリリウム→ダイアモンドとなるに従って空気感と倍音と空間と煌めく感じが強まり、『現代ハイエンドの空気感』を演出してきます。いずれも軸上特性は誤差範囲、軸外特性も15kHzまではほぼ揃っている条件で、ハード的にも振動系のみの違いで特性が揃っていてもこれだけ聴覚としては異なるというのはびっくりする体験でした。特性が整わないとお話になりませんが、特性が整った先があることを見せつけられた感覚です。

一方で、全体でのまとまりで言うと、今回はATC SCM50PにマウントしたことによりSM75-150Sとのマッチングになりますが、この相性はダイアモンド→ベリリウム→ソフトドームでした... スピーカーは(オーディオは)全体の調和だ、ということも同時に見せつけられた体験でした。

貴重なハイエンドツィーターを複数同時試聴するという、得難い体験でした。
各氏に心より感謝します、ありがとうございました。

# by tetsu_mod | 2023-03-29 12:55

RFT L1635-5

前回の試作ver.2をベースに、本番用のエンクロージャーを作ります。
試作はモノラルでしたが、LRセットで作ります。

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CADをもとに、NCで加工... ではなくホームセンターのDIYスペースでトリマーで作業しましたので、拡大するとアラがあります。ユニットを仮組みし、ネットワークを最終設計です。試作ver.2と同じく、シリーズネットワークで微調整していきます。

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ドイツコンセプトで、ムンドルフのコンデンサやドイツビンテージ配線材なども使用してみました。コンデンサなど円筒形のパーツの保持に、3Dプリンターでホルダーを作ってみましたが、いい収まりができて気に入りました。実測でも左右差なく調整できていそうです。


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外観はタヤエクステリアオイル塗料を使い、初心者でも一定の仕上がりになるのはありがたいです。


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スタンドも必要です。半額セールだったスツールを分解して、スピーカーに鬼目ナットを仕込みました。
だいぶんと形になってきました。(続く)

# by tetsu_mod | 2023-02-14 11:44 | オーディオ