DIY Loudspeaker Builder's Meeting 2024
2024年 06月 09日
2024年 03月 08日
YAMAHA社およびMJ『無線と実験』ライター小澤氏よりお誘いいただき、9cmユニットを用いたスピーカーを製作させていただきました。恥ずかしながら、これが初めてのフルレンジスピーカー製作となります。
Consept
今回の企画はフルレンジ(1way)がレギュレーションでしたので、その範疇でシンプルかつ現代製作としての性能(e.g.軸上・軸外特性) 、自作の範疇での見た目(所有満足度) 、特殊な加工が不要で再現性のある範囲の工作を考えました。
Unit
本企画においてYAMAHA社から提供していただいた試作 9cmフルレンジユニットです。Mms=2.8gと軽量ユニットですが振動板は高剛性の手応えで、10kHzまでは直線性をもった周波数特性を示しています。
Enclosure
add mass測定法でT/Sパラメーターを測定したところ、小型のバスレフでまとめるか悩みましたが、今回は中低域の充実を狙って6-7L程度のTQWT-portを... いや、この音道の長さではただの補強の入ったバスレフとしてしか動作しないであろうエンクロージャーを15mmシナベニアで製作し、Waveguide・Portは3Dプリンター製作としました。
Waveguide
一般的にWaveguide(WG)は2/3wayでのクロスオーバー領域の指向性制御に用いられることが多いですが、今回は1way での急激な指向性の変化を整えることを目的に複数種類を試作してみました。2-5kHzでのDirectivity Index(DI、赤線)がより直線的になっているかと思います。この変化が空間表現にどのように関与するのか興味がありましたので、今回はWGを採用しました。バッフル全体を3Dプリンター制作し、より大型のWGとすることも思案しましたが、バッフル強度の低下と高域周波数の音圧低下を危惧し、今回は見送っています。
Network
今回のレギュレーションは1way(フルレンジ)ですが、PST 回路の使用(LCRを使ったフルレンジの音質調整)は可とのことでしたので、 LCR-nocthで補正しやいようにユニット取り付け位置・バッフル幅を調整しました。VituixCADでネットワークを設計し、ホルダーは素子がピッタリはまるように、3D プリンターを用いて製作しました。
Measurement
実測データをVituixCADに取り込み、設計シミュレーションとの測定評価を行いました。
L/Rchの左右差は1dB以内に収まっており(上図)、またシミュレーションと同等の周波数特性が得られました(下図)。
Finishing
シナベニアの表面は比較的が柔らかいことから、0.3mm和紙貼り突板を貼ってみました。表面保護にはワシンの水性サンディングシーラー・水性ウレタンニスを刷毛塗りとしていますが、刷毛跡が... スポンジハケを使えば良かったと後悔しましたが、やむなしですね。
Meeting
他の企画参加ビルダーさん・その作品たちと一緒に、浜松のYAMAHA本社にて試聴会に参加させていただきました。吸音の効いた視聴室でしたので、サウンドパワーとしてユニットのXmaxやWGとのクリアランスが大丈夫かはヒヤヒヤしましたが、なんとか乗り切れたようです。当日はYAMAHAの無響室でとったデータもいただきましたが、自分の疑似無響音室測定データと大きな乖離がなくてホッとしました。無響室(もしくはNear-Field-Scanner 3D (NFS) )は個人では手が届かないものですから、試聴会と合わせて貴重な体験になりました。
フルレンジ製作において測定やシミュレーションは必須ではないですが、これらを活かすことで同じフルレンジ製作でもより楽しみの幅は拡がるものだと感じる製作でした。今後、YAMAHA社の方針として自作用スピーカーユニットが試作から販売へと至るかは期待したいところですが、振動板素材は個人的には手応えのあるものでしたので、個人的には1+6.5inchの2way用ユニットも販売されると嬉しいですね!
初めての浜松でしたが、駆け足ながらも観光もでき、また旧交を温めることもでき、とても幸せな時間でした。YAMAHA社およびMJ『無線と実験』ライター小澤氏、関係者の皆様に心より感謝申し上げます。
今回のYAMAHA製新開発スピーカーユニットを使ったスピーカー自作&試聴会イベント報告は、2024年3月8日発売のMJ無線と実験 2024年 4月号 春号 に掲載されます。また、2024年5月12日(日)開催の創刊100周年記念 第6回MJオーディオフェスティバル にて本企画のスピーカーたちが展示されるとのことですので、会場にこられましたら一笑いただけましたら幸いです。
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