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RFT L1635-3

とりあえず後面開放型で試作を作ってみます。

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見た目だけはバランスしましたが... 試作とはいえネットワークが必要です。Klangfilmのネットワークを調べると、シリーズ型のようです。マッチングトランスまではさすがに省略しますが、どうせならここまでオマージュしたシリーズ型ネットワークで構築したいと思います。しかし、インピーダンス変動が非常に大きいため、LCRノッチフィルターによる補正は必須です。
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この組み合わせでもdesign axisの一点ではreverse nullが実測されましたが、ユニット(ドライバー・ウーファー)のZ軸方向が大幅に違うので、あくまで1点でのreverse nullが限界ですね。また、以前にも何回かコンプレッション型ドライバーとダイレクトラジエーター型ウーファーを組み合わせたことがありますが、いずれでも位相回転角が違いすぎてクロス周波数で位相差を合わせるのが精一杯で、ダイレクトラジエーター型ツィーター・ウーファーの組み合わせのような幅広いreverse null=幅広い周波数でのスムーズなクロスオーバーはやはり難しいですね。コンプレッション型ドライバーとダイレクトラジエーター型ウーファーを組み合わせでアクティブクロスオーバーのうえ96db/octなどを用いる先人たちがいるのもこういった理由でしょうか?


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また、このスピーカーのために小出力アンプも手配してみました。ぺるけ式71Aシングルアンプです。0.5-0.7w程度の出力です。この極端に低出力・低DFのアンプでLCRノッチフィルターによるインピーダンス補正の有無を測定してみましたが、1dBぐらい変化が見られます。音質の再現性という意味でも、やはりLCRノッチフィルターによるインピーダンス補正はあったほうが良さそうです。

しばらく試聴を繰り返してみましたが、やはり200Hzからのダラ下がりの低域ではあまりにも不十分で、後面開放型は断念しました。DSPで低域ブーストをすれば(オープンバッフル型のコンセプト)いいのかもしれませんが、今回のコンセプトからはずれてしまいますので、次の試作ではバスレフ型に変更したいと思います。
(続)

# by tetsu_mod | 2022-04-17 12:39 | オーディオ

RFT L1635-2

古典的パラメーターのRFT L1635ユニットのT/SパラメーターをVituixCADのツール→エンクロージャーに入力すると、バスレフ方式で低域を伸ばそうと思うと200L程度必要になる計算になります。これはかなり巨大なエンクロージャーを必要とします。この時点で、どんなスピーカーを作るのかをコンセプトを定める必要があります。

RFT(Broadcasting and Telecommunication Technology)は、第二次世界大戦後の東ドイツでSiemens, Telefunkenなどの音響機器メーカーを母体としたことから、ここはその源流たるKlangfilm(Siemens)のスピーカーをオマージュしたモデルを目指そうと思います。

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これなら思い切って後面開放にしてしまい、巨大なバスレフエンクロージャーを製作することからも逃げられそうです。また、2wayに組み合わせるドライバーとして、同じくドイツ製品で探してBMS 5531に、ホーンはサイズと形状にもっとも近いものでDayton audio H110ホーンを選びました。

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Fusion360でお絵描きしてみました。
初期型のKlangfilmは真っ黒じゃないとのことなので(管球王国情報)、フロントバッフルは黒にせずとしてみます。

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このデザインで試作バッフルを作ってみたいと思います。(続)

# by tetsu_mod | 2022-03-06 21:39 | オーディオ

ルムアコ-9

実際のところ、コンシューマーオーディオにおける部屋音響に言及している書籍は自分が探した範囲ではほとんどありませんでした。ユーザーの好み(主観)やシステムの差(指向性が広いほど、反射面の影響が強くなる→広い部屋を要する傾向、指向性が狭いほど、反射面の影響が弱くなる→横壁の反射が減る(後壁の反射は残る)傾向など)が激しいことや、商業スタジオ建築ほどニーズがないことが原因でしょうか。

しかし、数少ない記述のなかではDanley Sound LabsのProf. Douglas JonesはHandbook for Sound Engineersのなかでリスニングルームでは…と控えめに記述しています。

1. モード分布はスタジオほど重要ではありません。
 それは低域を不正確にするが、ローエンドをより充実させます。
 →低域まで十分なレンジを持たないスピーカーの場合は、モードによるroom gainを用いることが望ましい。
2. 吸音材は控えめに使用します。
 リスニングルームは静かであっても、デッドになってはならない。
 →デッドによる圧迫感は一般家庭環境には望ましくない
3. 家具は大きな吸音材になる。
 最終的な処理の前に、家具を設置しておく必要があります。
 →大きな棚やソファなどは吸音材になります。実際に、家具による部屋の吸音率の変化を調べた論文があるぐらいです。
4. 横方向の反射は、拡散体を使用する必要があります。
横方向の反射は、部屋の開放感を飛躍的に向上させます。
 →極端に狭い部屋でない限りは、多くのコンシューマーユーザーの傾向からも側方は拡散が好まれるようです。
5. 天井の吸音は、空間を狭く感じさせる傾向があります。
ごく初期の反射を抑えるために吸音を使用しますが、残りの反射はそのままにしておきます。

拡散と吸音の実際のつかいわけですが、
拡散体は側方壁〜天井に多く採用されます。

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これらは1次元拡散(1D)と2次元拡散(2D)の配列がありますが、横壁・後ろ壁には1Dが、天井・正面壁には2D拡散体が多く採用されるようです。日本音響エンジニアリング(日東紡音響)のアンクシリーズは1次元拡散(1D)と見做せると思われます。いずれもコーナーには拡散体よりも吸音材がより効果的と考えられます。


吸音材はコンシューマーオーディオでは忌避されがちですが、多くの場合は薄い吸音材を一次反射点に設置しているようです。

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一般的な多孔質吸音材はその厚さおよび背面空気層の厚さにより低域方向の吸音率が変化します。25mm程度の"薄い"吸音材を反射点に用いると、初期反射音から500Hz以上の帯域のみ吸音されるため、"精気のない"サウンドになりがちです。吸音は適材適所かつ、十分な厚みをもって対応する必要があります。

これを逆手にとると、左右非対称な傾斜天井や、部屋の一部が凹んでいる場合は、背後のスペースを吸音層としてもちいることで左右対称のセッティングにしながらデッドスペースを吸音に利用できることになります。(緑が吸音材)

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また床面は巨大な反射面になりやすいのですが、人間は地上で生活する動物であり、かつ耳より脚側には体が存在するため、地面からの反射音にも鈍くなっていることから、床〜天井のフラッターエコーに留意することが第一選択になります。

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天井になんらかの音響対策をしない場合は、厚手の絨毯などで床〜天井のフラッターエコーを防止することが望ましいかと思われます。また、しっかりと重量のある厚手の絨毯は意外と低い周波数まで吸音対応してくれることも期待できます。

Prof. Douglas Jonesの記述に付け加えるならば、
6. 左右対称のセッティング
7. 床/天井はフラッタエコー防止にはどちらかが吸音(厚手の絨毯)or 拡散が望ましい
8. コーナーは吸音処理が望ましいが、中高域を吸音しすぎないように留意する
9. 壁反射面は1m以上離し、耳の高さは拡散が望ましい(60*60cm以上)が、1m以下の場合や軸外特性によっては吸音が望ましい(吸音層+空気層で10cm厚以上)
10. 本棚や、厚手でドレープの深いカーテンは吸音が期待できる
でしょうか。

つまるとこと吸音と拡散の程度については個々人の好みが大きく、また近年では吸音と拡散をハイブリッドとした製品も多くでています。

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適材適所ではありますが、使いやすい製品群になるでしょうか。

長くなりましたが、この稿が何かの参考になれば幸いです。
また、ご興味がありましたら原著を読んでいただければ幸いです。

<参考文献>
Sound Reproduction
Acoustics of Small Room
Acoustic Absorbers and Diffusers
Acoustics and Psychoacoustics
Sona - Proceed Magazine
Recording Studio Design
Handbook for Sound Engineers
Loudspeakers: For Music Recording and Reproduction

# by tetsu_mod | 2022-03-06 21:17 | オーディオ

ルムアコ-8

このような時間特性からみた音響設計については、コンシューマーオーディオよりも先んじてプロではスタジオ設計に取り入れられてきました。
時代的な変化しとて、その思想と設計様式は大別して以下に分類されます。

1.部屋全体を吸音する方法
無響室
Non-Environment (スピーカー壁面と床を除く)

2.初期反射音は吸音し、後期反射音は拡散する方法
LEDE (LiveEnd-DeadEnd)
RFZ (Reflection Free Zone)
Controlled-Reflection Room

3.初期反射音を拡散する方法
RRZ (Reflection Rich Zone)

4.部屋全体のほとんどを拡散する方法
Ambechoic(Ambient Anechoic)


1.部屋全体を吸音する方法:Non-Environment (スピーカー壁面と床を除く)
もっとも古い設計思想ですが、今でも採用される方式です。

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ITDのイメージ図はSONA社のホームページより引用しました。
この方式では、直接音以外はすべて吸音処理することが目的となるため、反射音による音量の補強ができません。そのため、大音量を出せるスピーカー(いわゆる古典的ラージモニタースピーカー)を必要とします。

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2.初期反射音は吸音し、後期反射音は拡散する方法
LEDE (LiveEnd-DeadEnd)
RFZ (Reflection Free Zone)
Controlled-Reflection Room
なぜか日本語ではライブエンド・デッドエンドが逆になっている記述が散見されますが...

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この方式までは拡散体の理論が確立するまでの時代で多くみられた設計思想ですが、今でもこの思想での設計も多くみられますし、後方を拡散と組み合わせるスタジオも見られます。

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3.初期反射音を拡散する方法
RRZ (Reflection Rich Zone)
1980年代に拡散体理論が提唱されると、RFZ (Reflection Free Zone)を吸音ではなく拡散で行う方式が行われました。このようなセッティングはコンシューマーオーディオでも見覚えがあるものかと思います(日本ではRPG社QRDシリーズよりも、日本音響エンジニアリング(日東紡音響)のアンクシリーズのほうが多いかもしれませんが)。

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4.部屋全体のほとんどを拡散する方法
Ambechoic(Ambient Anechoic)
RRZ (Reflection Rich Zone)の考え方を押し進め、部屋全体のほとんどを拡散することで(低域の吸音層は必要ですが)、初期反射のみならず部屋の残響までコントロールしようという考え方です。もっとも有名な建築はアメリカのBlack Bird Studioですが、日本では日本音響エンジニアリング(日東紡音響)の試聴室”アンクの森”でしょうか。

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しかし、リスニングポジションが周囲の拡散体(壁)から1〜3m以上離れること、十分なサイズの拡散体を必要とすることから、敷地面積やその建築費としてもかなりハードルの高い建築となります。残念ながら市販されてる程度の拡散体を壁一面に設置しても、同様の効果を得るのはかなり困難なのではないでしょうか。

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しかし、夢のある方式ではあります。


番外編:石井式
日本でのコンシューマーオーディオでは石井式リスニングルームの建築も有名ですが、この設計様式は基本的には防音および低域伝送特性(残響特性)に留意した設計になっています。現代的な時間特性に考慮し、よりより空間表現などを求めるには、反射面に拡散体や、リスナーに近い壁面では吸音面を増やすなどの変更が必要になるのかもしれません。

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しかし、一般的なリスニング環境はプロのスタジオとは環境が異なるだけでなく、リスナーの好みも異なることを配慮しなければなりません。(続)


# by tetsu_mod | 2022-03-06 19:29 | オーディオ

ルムアコ-7

一般的な家庭でのセッティングにおいて、基本的にスピーカー・リスナーは壁に近くなり、また部屋サイズによっては側方の壁も近くなります。

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そして、この場合の反射面の挙動は1. 反射 2. 拡散 3.吸音のいずれかを目的とすることになります。全体域での完全な吸音や拡散は非常に困難なため、どのように・どの程度組み合わせるかを検討する必要がありますが、極端な中央セッティング・ニアフィールドリスニングでない限りは、Comb filterを避けるため、反射音を吸音or拡散で15-20dB弱くすることが望ましいと言われています。

Comb filter(コムフィルター、くし形フィルター)は、遅延した音が本来の音と合成される結果、干渉によりピーク・ディップを繰り返す特性となる現象です。

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全反射面による直接音・反射音の合成のイメージですが、遅延した反射音との合成による干渉により、ピーク・ディップがくしの歯のようなギザギザとなる特性となります。これを避けるために、吸音、拡散、もしくは知覚外の遅延時間に延ばす(セッティング)やスピーカーの指向性制御などの方法があります。

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吸音、反射、拡散による干渉のイメージ図ですが、吸音では遅延は変わらないものの反射波が小さくなることで干渉の影響は小さくなります。拡散では、入力された音エネルギーは1D(もしくは2D)に拡散されるため、スピーカー〜リスナーへの反射点は1点にならず、複数点から入力されることになり、これは複数の経路を通ることから遅延も分散されることになります。拡散では1点からの反射が弱まるだけでなく、複数点からの遅延がズレた反射が入力されることで、干渉の影響が小さくなります。そのため、拡散体による反射点の対応はピンポイントでは期待通りの動作ができないため、60*60cm程度以上の面積が望ましいものになります。

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吸音・拡散による反射波の変化は、フリーソフトウェアであるREW(Room EQ Wizard)でアマチュアでも可視化することができます。リスニングポジションでのマイク測定のうえ、spectrogram解析を行うだけです(個人的好みで表示スケールや軸は変更しています)。上図は側方一時反射点に拡散体を設置した変化ですが、一次反射が11dB減衰していることが分かります。個人的な聴感でも、よりクリーンで広い空間表現に変化したと感じました。


一方で、拡散体がその効果を期待通り発揮するには、リスナーからある程度の距離をとる必要があります。

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拡散体は複数の反射点から耳への入力がなされることで遅延効果を発揮しますので、あまりに拡散面が近いと両耳効果による方向感覚が優ってしまい、反射点からバラバラに聞こえてしまい十分な効果を発揮できません。つまり、拡散面はリスナーからできるだけ離れた位置に配置されたほうが効果的なのです。これまでの実験から、リスナーと拡散体は少なくとも目的とする周波数では3波長以上離れた場所にいるのがベストということが分かっています。リスニングルームで使用されるディフューザーの周波数の下限は約300~500Hz(15cm)なので、3mの距離が推奨されます(最低でも1m)。

部屋のどの位置を吸音・拡散・反射とするかは、個人の好みやスピーカーの指向性と関係するために永遠のテーマではある部分ですが、耳やスピーカーから1m以内という比較的近い場所では、吸音を検討する必要があるでしょう。(続)

# by tetsu_mod | 2022-03-06 18:03 | オーディオ