スピーカーの性能評価および設計時に、マイク配置の検討にはあまり馴染みのないAcoustic axisおよびAcoustic offset, Vertical offsetという概念を考える必要があります。前者は日本語では音響軸、後者は(とくにカーオーディオの分野で)タイムアライメントという呼称が一般的かもしれません。

一般的に視聴位置、またスピーカーの性能評価および設計時には「ツィーター軸上で」というのが暗黙の了解になっています。
これはツィーターの高域指向特性が軸上から外れるほど悪くなることに起因しているためだと思われます。
が、Acoustic axis, Acoustic offset, vertical offsetの考え方次第ではツィーター軸上では特性が悪化する可能性があります

一般的な2wayスピーカーの模式図です。
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ここでは、ユニット間のズレ(offset)を、コーン形状による水平方向をAcousitc offset(Y)、鉛直方向ををVertical offset(Z)と定義します。

ツィーター軸上で測定すると、ツィーター(X)mmに対して、ウーファーはAcousitc offset(Y)+Vertical offset(Z)による三角関数分ズレてしまいます。測定距離(X)を伸ばすほど誤差(X'-X)は小さくなるはずです。
試しに、クロスオーバー2000Hz、ウーファー150mm、ツィーター(フェイスプレート外径)100mm(Vertical offsetは125mmになるはずです)、Acousitc offset(Y)25mmと想定して、クロスオーバー周波数で(X-X')が視聴位置に対してユニット間位相差がどれぐら変動するか計算してみます。
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視聴位置を伸ばしても、Acoustic offsetがある時点で、約60度の位相差が発生します。
この位相差をクロスオーバーネットワークで吸収するには、理想的なAcoustic slopeからずらしたり、ラダーディレイを組む必要があります。(パッシブラダー・アクティブともにディレイによる弊害についてはまた後日)

次に、Acoustic axisがユニット間の中点(=Vertical offsetがゼロ)を想定します。
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Acoustic offsetによる位相差は53度と存在していますが、
視聴距離に左右されず、一定の位相差であることは約束されます。(厳密には1度程度ズレていきます)
すなわち、Vertical offsetがゼロになるAcoustic axisに耳やマイクを持って来れば、視聴位置にかかわらず、ツィーター・ユニットの位相差は一定となります。

次に、Acoustic offsetがゼロでツィーター軸上を想定します。
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Acoustic offsetがゼロになるので、ユニット間位相差はかなりマシです。
が、やはり視聴位置によってユニット位相差が発生します。

最後に、Acoustic offsetもVertical offsetもゼロの場合です。
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当たり前ですが、視聴距離にかかわらず、Acoustic axis上で聴くor測る限り、ユニット間の位相差はゼロになります。
これが理想です。

では、この理想達成にはどのような形式が?
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歴史的にみて、これらのユニット配置が考えられてきました。
この中ではスラントおよびwaveguideが今も生き残っています。

10kHzの指向性をみてみると、
フラッシュサーフェス
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waveguide
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段付き
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となるので、段付きは滅びていったのかと...

まとめ
・市販or自作を問わず、視聴位置はAcoustic axisを考えたほうがよく、それは往々にしてツィーター軸上ではない。
・自作設計の場合、Acoustic axis, Acoustic offset, vertical offsetを考慮したバッフルデザインおよび測定をする必要がある。それは往々にしてツィーター軸上1mではない。

ディレイに関して書いた弊害、スピーカーの軸外特性(offaxis response)についてはまた後日...


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by tetsu_mod | 2017-05-28 21:55 | オーディオ | Comments(2)

ATC SCM25A

昨今のニアフィールドモニターは、各社コンパクトパワード3wayがトレンドになってきていますが、ATCのSCM25Aを聴くことができました。

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このサイズではNeumannやGenelec、最近ではDynaudioもコンパクト3wayを出していますが、しっかりとATCの個性のあるスピーカーでした。やっぱりパワードの有利さは感じますね...
先日聴いたAmphionと比較して、ミックス向きのAmphionとマスタリング向きのATCといった感覚を感じるものでした。
いいスピーカーでした。


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by tetsu_mod | 2017-05-22 10:27 | オーディオ | Comments(0)

Amphion Two15

前回に続いて、Amphion Two15です。
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ウーファーが15cm、バーチカルツィンになります。
サウンドイメージはそのままに、ローが伸びた印象ですが、決して量感豊富なローではなく、どちらかと言うと節操あるタイプのストイックなローです。ミッド〜ハイはとても精緻な表現が印象的で、定位(楽器の配置)はとてもよく描写されます。
ブックシェルフ型による空間表現が好きな人は聴いてみてほしいスピーカーです。

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by tetsu_mod | 2017-05-13 02:02 | オーディオ | Comments(0)

Amphion One12

Waveguide構造で有名なAmphionの小型モニターを聞かせてもらいました。

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空間表現は秀逸なものがあります。
パッシブラジエーターの特徴なのか、美味しい音量があり、極小音量ではちょっと寂しい感じです。
一回り大きいOne15 or Two15を聴いてみたくなりましたね。

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by tetsu_mod | 2017-05-07 12:43 | オーディオ | Comments(0)

LUXMAN LX-380

好評価されてましたので、聴きに行ってみました。
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本作から設計者が世代交代したみたいで、横もフルサイズになり、かっこいいです。

真空管アンプらしい質感を保ちながら、空間表現やアタック感などは現代水準で、バランスが白眉なアンプです。
いいですね、これ。
LECUA搭載などで少し高くなってしまいましたが、これにHarbeth HL-Compact7ES3組み合わせれば...
と往年の黄金組み合わせの現代ver.に思いを馳せたくなる音でした。

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by tetsu_mod | 2017-05-04 18:20 | オーディオ | Comments(0)

Iridium17さんの著作、『自作スピーカー測定・Xover設計法マスターブック』を遅ればせながら入手しました。
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知人たちの力作です。
思い入れたっぷりに読ませていただきました。
日本語で現代的なクロスオーバー設計について記述されているものとしてとてもいい本です。
というか対抗となる書籍がない現状が...

スピーカー自作をされる方の皆さんに手にとっていただきたいものです。

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by tetsu_mod | 2017-05-03 01:50 | オーディオ | Comments(0)