測定はツィーター軸上1mであるべきなのか
2017年 05月 28日
スピーカーの性能評価および設計時に、マイク配置の検討にはあまり馴染みのないAcoustic axisおよびAcoustic offset, Vertical offsetという概念を考える必要があります。前者は日本語では音響軸、後者は(とくにカーオーディオの分野で)タイムアライメントという呼称が一般的かもしれません。
歴史的にみて、これらのユニット配置が考えられてきました。 この中ではスラントおよびwaveguideが今も生き残っています。
waveguide
段付き
となるので、段付きは滅びていったのかと...
まとめ ・市販or自作を問わず、視聴位置はAcoustic axisを考えたほうがよく、それは往々にしてツィーター軸上ではない。 ・自作設計の場合、Acoustic axis, Acoustic offset, vertical offsetを考慮したバッフルデザインおよび測定をする必要がある。それは往々にしてツィーター軸上1mではない。
ディレイに関して書いた弊害、スピーカーの軸外特性(offaxis response)についてはまた後日...
一般的に視聴位置、またスピーカーの性能評価および設計時には「ツィーター軸上で」というのが暗黙の了解になっています。
これはツィーターの高域指向特性が軸上から外れるほど悪くなることに起因しているためだと思われます。
が、Acoustic axis, Acoustic offset, vertical offsetの考え方次第ではツィーター軸上では特性が悪化する可能性があります。
一般的な2wayスピーカーの模式図です。ここでは、ユニット間のズレ(offset)を、コーン形状による水平方向をAcousitc offset(Y)、鉛直方向ををVertical offset(Z)と定義します。
ツィーター軸上で測定すると、ツィーター(X)mmに対して、ウーファーはAcousitc offset(Y)+Vertical offset(Z)による三角関数分ズレてしまいます。測定距離(X)を伸ばすほど誤差(X'-X)は小さくなるはずです。 試しに、クロスオーバー2000Hz、ウーファー150mm、ツィーター(フェイスプレート外径)100mm(Vertical offsetは125mmになるはずです)、Acousitc offset(Y)25mmと想定して、クロスオーバー周波数で(X-X')が視聴位置に対してユニット間位相差がどれぐら変動するか計算してみます。 視聴位置を伸ばしても、Acoustic offsetがある時点で、約60度の位相差が発生します。この位相差をクロスオーバーネットワークで吸収するには、理想的なAcoustic slopeからずらしたり、ラダーディレイを組む必要があります。(パッシブラダー・アクティブともにディレイによる弊害についてはまた後日)
次に、Acoustic axisがユニット間の中点(=Vertical offsetがゼロ)を想定します。 Acoustic offsetによる位相差は53度と存在していますが、視聴距離に左右されず、一定の位相差であることは約束されます。(厳密には1度程度ズレていきます) すなわち、Vertical offsetがゼロになるAcoustic axisに耳やマイクを持って来れば、視聴位置にかかわらず、ツィーター・ユニットの位相差は一定となります。
次に、Acoustic offsetがゼロでツィーター軸上を想定します。 Acoustic offsetがゼロになるので、ユニット間位相差はかなりマシです。が、やはり視聴位置によってユニット位相差が発生します。
最後に、Acoustic offsetもVertical offsetもゼロの場合です。
当たり前ですが、視聴距離にかかわらず、Acoustic axis上で聴くor測る限り、ユニット間の位相差はゼロになります。
これが理想です。
では、この理想達成にはどのような形式が?
10kHzの指向性をみてみると、
フラッシュサーフェス
by tetsu_mod
| 2017-05-28 21:55
| オーディオ