セッティング、EQ 2015ver. -(3)

EQに対するメーカーの考え方の違い
自動補正EQはそのアルゴリズムが各メーカーの思想によって大きくことなります。
・DG 一点測定、全帯域、ブーストあり
・driverack 一点測定、全帯域、ブーストあり
・DEQX 一点測定(軸上1mおよび試聴位置の2回)、全体域、ブーストあり
・LINN 試聴位置・SP位置・部屋サイズからの計算、80Hz以下のみ(MAX 200Hzまでマニュアル入力可能?)、カットのみ
・anti-mode 2.0 一点測定(試聴位置指定)、150Hz以下(advancedモードではより上の周波数までマニュアルで操作可能?)、カットのみ
・coneq 複数点測定(軸上1m指定)、全帯域、ブーストあり
・ARC System2 複数点測定(試聴位置指定)、全帯域、ブーストあり
・GLM 一点/複数点測定(視聴位置)、1kHz以下、カットのみ
・SAM 一点/複数点測定(視聴位置)、6kHz以下カットのみ
・トリノフ 一点測定(3Dマイク)、ブーストあり?、1kHz以下がほとんど、あとは超高域のブーストのみ?


測定位置
軸上1mはシステムおよびスピーカーの特性補正を主としているものと思われます(ゲート測定がないと、正確とは言えませんが)。視聴位置はシステム・スピーカー特性に加えて部屋特性の補正が目的となります。つまり、視聴位置でのRTA測定の結果をみたときに、それが部屋の特性なのかスピーカーの特性なのかを判断するためには、スピーカーそのものの特性が分かっている必要があります。Genelec社のGLM,SAMは自社スピーカーしか対応しないのはこのためで、逆にスピーカーの性能を逆算することで部屋の影響のみを高い純度で計算していると思われます。

各メーカーの思想の違い。
DEQXは本来、チャンネルデバイダーも含めた設計のため、EQ補正のみを考えた使い方は最適ではないかもしれません。LINNスペースオプティマイゼーションは他のメーカーと異なりマイク測定をせず、部屋のサイズおよびスピーカープリセットによるユニット位置やバスレフポートの位置(高さ)からの計算で、80Hz以下の定在波のみをターゲットとしています。これは測定誤差(マイク、手技)の問題やその煩雑さから逃れ、一番エネルギーの多い定在波(特に1次の定在波)をターゲットとすることで手軽にEQのエッセンスを狙った方向だと思います。実測していないため、正しくEQできているかの確認は困難ですが、1次の定在波ならば部屋採寸がちゃんと出来ていれば、大きくズレることはなさそうだと思います。Anti-mode2.0はLINNと同様に定在波のみをターゲットとしていますが、こちらは実測データをベースにしています。
ConeqやARCは、部屋の影響というよりもシステムそのもの性能へのEQの側面が強いようです。これらはスタジオ用vstプラグインをそのベースとしており、調整が出来た部屋で1m程度のニアフィールドモニタリングの際に用いる事を想定しています。
GLM、SAMは前述のとおりGenelec社の一部の製品にしか対応していませんが、僕が触ったことのあるEQのなかではもっとも完成度が高いと思います。これは純然に部屋の影響のみをターゲットとしており、またEQポイントも6カ所程度とツボを抑えたEQな気がします。対応スピーカーを購入して、自分の好きなスピーカーの設置位置で測定し、GLM.SAMのEQカーブを好きなスピーカーに適応させるのが贅沢な使い方になると思います。
トリノフオーディオは触ったことがないのですが、3Dマイクとsmaartをベースにした測定技術が面白そうです。また、補正画面を見る限りでは大幅な補正ではなく、あくまで低域中心のようですが、これは内蔵のプリセットなども多くあるようです。一度触ってみたい製品ではあります。
いずれのメーカーにせよ、前述のようにキャンセレーションディップをブーストで埋めることは困難ですし、むしろアンプの負荷の増大や、EQのヘッドルームの圧迫、スピーカーの歪み率の増加などのデメリットのほうが大きいと思われますので、カットのみの製品もしくは設定がいいかと思います。
『視聴位置測定で全帯域フラットをうたうEQ』は、上記のデメリットの他にも、スピーカーの特性を殺したりしてしまう可能性があります。例えばAccutonのセラミックミッドユニットは1kHzに振動モードが変わるのか、周波数特性に癖がありますが、好きなユニット(スピーカー)を買うのであれば、そのような癖も含めてのことだと思います。
スピーカーの特性(個性)はそのままに、部屋の悪影響(ピークのみ)をEQで除去したいと考えた場合、スピーカーそのものの無響音室特性を知る事はとても大事です。300Hz程度以下のみの補正であれば測定はわりあい簡便だと思いますし、ほとんどのメーカースピーカーでは300Hz以下は低域再生限界にむけてロールオフするのみで、大きな周波数変動はない…はず…
結論として、2015年4月で自分で選ぶならば、
1. 自分で測定、マニュアル補正
2. anti-mode 2.0で測定、自動補正
3. GLM,SAM対応スピーカーで測定、自動補正カーブをもとに、好きなスピーカーをマニュアル補正
4. トリノフオーディオ?

が選択肢になるかと。 トリノフは聴いたこと(さわったこと)ないので、?マークつきで(笑)
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by tetsu_mod | 2015-04-17 18:14 | オーディオ | Comments(0)