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セッティング、EQ 2015ver. -(1)

今年の正月の目標の一つ、『スピーカーマネジメントアルゴリズムを作る。』ですが、スピーカーセッティング・EQを含めた自己の知見を何回かに分けてまとめていきたいと思います。

スピーカーによる音楽再生において広帯域かつフラットな再生は理想ですが、イヤホン・ヘッドフォンと異なり、部屋の影響による周波数特性の乱れが必ず生じます。
現代モニタースピーカーの雄、GENELEC社は『理想的には、試聴位置において周波数特性は±2.5dBのウィンドウ内に入るべき』と述べており、実際にかれらはこの目標のために±1dB (29 Hz - 21kHz, 8260A)という化け物じみた性能のモニタースピーカーまで作り上げています。

ひるがえって、好みのスピーカーを持っている場合には、どのように考えたらいいのでしょうか。
GENELEC社風に言うのであれば、スピーカーの無響音室周波数特性±2.5dBの試聴位置周波数特性が理想になるのではないでしょうか。
つまり、スピーカーを含めたシステムの特徴にたいして部屋の悪影響を取り除くことが目標だと思います。


参考文献
Genelec Monitor setup guide 2011
Neumann setting up monitors
低音が充分に出ていないかも知れないのですが?
How to Setup Your Studio / Critical Listening Room

スピーカーセッティングにおいて、部屋の悪影響を避けるためにはその設置位置だけなく、さまざまな対策が講じられることになります。すべからくすべてのスピーカーのセッティングにおいてはアコースティックな対策のほうが優先されますが、壁構造や拡散板・吸音材を含めて低域では対策も大掛かりになるため、低域補正については電気的なEQ補正も検討対象になるかと思われます。
EQ補正は主に低域のコントロール、すなわち定在波や低域残響の調整に用いるのがいいと思います。これは高域では波長が短いため、わずかな試聴位置のズレや部屋のものの位置、気温などに左右されるためです。現在の自動補正プログラムにおいて、上限を何Hzまで補正対象とするかはメーカーごとによりますが、おおむね上限は1kHz程度と思われます。一般的には、定在波・低域残響(ブーミング)の上限は200〜300Hzまでが主体のため、その倍音である500〜600Hz程度までの補正が使いやすいと思います。

定在波は部屋の形状に定義され、マスタリングルームなどでは壁や床にわずかな傾斜(1.5〜5°程度?)をつける対策が多いようです。その他の対策としては壁への本棚などの家具や、斜め設置のパネル、シルヴァン構造などがあります。 このような定在波などによる低域残響過多はブーミングやこもりと呼ばれることもあります。残響時間が長い場合に起こりやすいので、狭くてライブで遮音が強い部屋ほど起こりやすく、また部屋の寸法比で発生する定在波が共通すると増強します。つまり、狭くてコンクリ造りで立方体な部屋、などで顕著になります。石井式はこの対策として作られた側面が強いと思います。対策は吸音となるものを部屋に入れることか、遮音を落とすことです。日本家屋などで、低域が素直なのは音漏れが激しいために逆にブーミーになりにくいからだと思います。他にも、定在波の発生がピンポイントで測定できるのであれば、ボイド管などを用いた吸音管を作るのも効果的です。その際は、壁際などに設置するのが効果的です。

閑話休題
和室などでマットな質感に聞こえるのは、反射音が少なく、また反射音の吸音が強いためと思われます。音波は反射の度に吸収されますが、音響エネルギーの少ない高域から吸われます。スピーカーからの一次音に続いて聴こえる反射音において、高域が吸音過多だと『生気のない、ダルな、マットな、寂しい』音に聞こえるようです。対策は拡散系ですが、反射面にスダレ程度でも効果があります。この考え方で拡散する音そのもを増やす考えかたが、全方向性スーパーツィーター(エラックとか)で、本来はスピーカーの真裏や、少なくとも天板の一番後ろに置くことで一次音に混ぜずに、反射音に高域成分を付加することによるプレゼンスの上昇を狙いとしています。

(続)
by tetsu_mod | 2015-04-16 00:54 | オーディオ